ブックタイトル食用油脂入門改定3版

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概要

食用油脂入門改定3版

第1 章 油の歴史3れた。この頃の正倉院文書には油が商品として市場に流通していたことが記されている。また、油を使ってかりんとうのような菓子が作られるようになったとされている。 平安時代になると、京都を中心に植物油を使った加工食品やごま油を使った炊き込み飯が現われ、油の食品としての地位が確立されてきた。この時代には、ごまの増産が奨励されて全国的に産出されるようになった。宮中の制度を定めた延喜式にあるように、ごま油は灯明用の年貢油として第1位の座を占めていた。? あぶらの事業化 搾油が事業として出現したのも平安時代の頃で、京都府の大山崎にある離宮八幡で搾油が始まったのが商業的搾油の先駆とされている。荏え胡ご麻まを原料にして図表1―1に示す「長木」といわれるテコを応用した搾油器を用いて油を搾り、灯明用に献上した。製油業者は神社の保護を得て神人と呼ばれる特権をもち、各地の寺社に油を献上するとともに、見返りに年貢や通行税を免除され勢力を拡大した。これが、後に油座といわれる油製造販売の独占権をもった組織に発展した。 鎌倉時代になると、食文化が京都から武家社会に広がり、油料理が普及する一方、灯明以外に唐傘、油紙、提灯など塗料としての用途が開発され、油はますます重要な商品になった。そのため、特権をもった座組織が各地に広がり、油は広く各地に交易されるところとなった。3  中世から江戸時代のあぶら? 大阪油商人の台頭 戦国時代の美濃城主・斎藤道三が油売りから身を