ブックタイトル食用油脂入門改定3版

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概要

食用油脂入門改定3版

第1 章 油の歴史5ケ、オムレツなど油を使う西洋料理が普及した。また、照明(灯明)用として大きな位置を占めていた植物油は、石油ランプの登場によって後退を余儀なくされ、さらに電灯の出現によってランプもその座を失った。反面、工業化の進展にともなって植物油の新しい需要が生まれ、機械油、焼き入れ油、潤滑油等に用途が開発され、油脂の需要は拡大した。さらに、マーガリンが導入され、いわゆる加工油脂の分野が開かれて油脂は多様化に進んだ。 油脂の生産は、江戸時代までは幕府の統制下になたねと綿実が推奨されていたが、明治になると雑穀類からの採油が解禁になり原料も多様化した。いわゆる油問屋といわれる力のある油業者は、各地の原料産地に点在する小規模な搾油業者になたね油等を委託生産し、これらを集荷して品種分けあるいは精製して商品を作り、容器に入れて各地に販売していた。1875(明治8)年には、なたね油が輸出品の一つになっている。その頃の油の精製は依然として灰直し法といわれる方法で、油に石灰を加えて撹かくは拌んした後、透明になるまで加熱し、上澄みをとってろ過する。それを再度加熱して色のうすい油としたものが「白し らしめゆ絞油」であり、その名は今日も精製油の代名詞として引き継がれている。5  西欧諸国の動き 西欧諸国の動きをみると、1850年頃のイタリアの搾油工場では伝統的なテコを利用した搾油道具が使われていたが、その他の諸国では産業革命によってもたらされた機械化と近代科学がすでに油脂分野に応用され始めていた。18世紀末にいわゆる水圧機械の利用が行われており、1819年にはマルセイユで本格的な水圧式搾油機が製作された。1830年にはアメリカのジョージア州で大型搾油